先人の知恵袋

ちょっとしたお話その2

 今回は、花火を楽しむための大切なきまりについてお話しましょう。
 
 花火は、火薬類を燃焼・爆発させ、光、音、そして煙を発生させるものです。一般家庭で使用されるおもちゃ花火の火薬量は15g以下。気軽にできる花火なので、年齢を問わず人気ですが、反対に花火による事故も増えています。花火による事故で最も多いのが火傷。軽いものから衣服に火が移ってしまったことによる大火傷まで、夏の3ヶ月間に多く発生しています。
 
 また、好奇心旺盛な時期の子ども達に多いのが、花火を分解して火を付けることによる怪我や暴発の報告です。
 
 物事を安全に楽しむためには、なんでもまず準備が必要です。家庭で花火をする時に準備する物は、水の入ったバケツ、ゴミ袋、火を付けるためのローソクや蚊取り線香です。そして次の注意事項を守りましょう。

 1.花火に書いてある遊び方、警告・注意書きをよく読んで、必ず守りましょう。
 2.花火を人や家に向けたり、燃えやすい物のある場所で遊ばない。また衣服に火がつかないように、十分に注意しましょう。
 3.手持ちの筒もの花火は、持ち手の位置に気をつけましょう。
 4.風の強い時は、花火をしてはいけません。
 5.水を必ず用意しましょう。
 6.子どもは、大人と一緒に遊びましょう
 7.沢山の花火に一度に火を付けてはいけません
 8.正しい位置に正しい方法で、火を付けましょう。
 9.花火は途中で消えても、筒を絶対に覗いてはいけません。また、火を付ける時も筒の前に顔や手を出してはいけません。
 10.花火をポケットに入れてはいけません。
 11.大変危険なので、花火は絶対に分解しないようにしましょう。

 取り返しのつかない事故を起こさないよう、大人がしっかり見守り、子ども達に花火の使い方、防火方法を教えることがとても大切です。正しい使い方をして、心の残る大切な思い出にしましょう。

11/08/13


ちょっとしたお話その1

 夏休みも半分を過ぎました。小中学生の皆さんは、毎日何をして過ごしていますか?
 
 夏休みやお盆休みを利用して、村外に出ているご家族やご親戚が帰ってきている、又は、帰ってくるというご家庭も多いのではないでしょうか?
 
 夏の夜と言えば、花火。20日(土)には、本村においても『しいば花火大会』が開催される予定です。
 
 花火大会での花火は、打ち上げ花火ですが、家庭で楽しむことができる花火は、おもちゃ花火といいます。

 おもちゃ花火の中の手持ち花火は、大きく分けて2種類あります。
ひとつは、『すすき』といわれる手持ち花火で、火薬を紙や筒で包んであり、色の変化が楽しめるのが特徴です。
 もうひとつは、『スパーク』と言われる花火で、火薬が外側に出ている花火。煙が少なく、火花がぱちぱちと飛び散るのが特徴です。
 
 そして最近では、『カラーチェンジャー』と呼ばれる花火の色が様々に変化する手持ち花火も登場しました。
 
 最近では、おもちゃ花火も種類が豊富で、子どもだけでなく大人も十分楽しめますが、家庭での花火大会の締めは、やはり昔ながらの線香花火でしっとりと…が定番ではないでしょうか?
 
 線香花火は、打ち上げ花火の掛け声『鍵屋・玉屋』でお馴染みの江戸時代に活躍した花火師が作ったと言われています。
 
 江戸時代の俳諧選集 洛陽集には、葦やよしより、もう少し細い藁の先に火薬をつけた花火を香炉に立てて遊んでいる女性の様子が詠まれていますが、香炉や火鉢に立てた花火の格好が、仏壇に供えた線香に似ていることから、線香花火という名前が付いたといわれています。
 
 皆さんは、線香花火にも種類があるというのをご存知でしたか?
西日本で馴染み深いのが、『すぼて』と呼ばれるもので、先端は黒色、持ち手は藁でできている線香花火で、火を着けた後は、上向き45度に保つことで長く楽しめると言われています。反対に、東日本で馴染み深いのが『長手』と呼ばれるもので、こよりの様に全体が紙で作られており、こちらは、火を着けた後下向き45度に保つことで長く楽しめると言われています。皆さんも是非、お試しください。

 いくらおもちゃ花火という可愛らしい呼ばれ方をしていても、原料は火薬類でできています。遊ぶ時にきちんとしたきまりを守らないと、思わぬ事故に繋がります。
 
 では、次回のちょっとしたお話では、おもちゃ花火を楽しむための大切なきまりについてお話しましょう。

11/08/12


先人の知恵袋Vol.19 口内炎編

 皆さん、夏バテしていませんか?どうも体調が良くない、食欲がない…そんな話を最近よく聞きます。体調を崩すと、痛い口内炎ができませんか?今回は、そんな口内炎に良く効く、私の実家に伝わる先人の知恵をご紹介しましょう。
 
 私の実家では、口内炎ができて母に痛みを訴えると、市販の薬でも病院の薬でもなく、あるものを塗られていました。それは、今が旬のナスのヘタの黒焼きです。
 
 作り方は、まず、料理などでナスを使った時に出るナスのヘタのみを取っておき、天日で良く乾燥させます。その後、アルミホイルを敷いたフライパンなどで炭になるまでよく焼きます。炭になったら、そっととりだし、更によくすりつぶします。小瓶に入れて出来上がりです。
 
 このナスのヘタの黒焼きを口内炎に直接付けます。付けた瞬間は、目に涙がにじむほどしみます。しかし、しばらくすると…痛みが和らいでいるのに気付くはずです。
 
 1回つけただけで、口内炎に舌が触れても痛みを感じなくなり、2回目付けた時には、薄い膜の様なものができ、次の日には白かった部分に赤みが出て、後は治るだけ。
 
 調べてみると、ナスにはプロテアーゼインヒビターという物質が含まれ、炎症を鎮める効果があるそうです。口内炎以外にも、ヘタの黒焼きに塩を混ぜて歯ぐきに塗ると歯槽膿漏予防になると紹介されていました。
 
 そして、口内炎や歯ぐきにナスの黒焼きを付けるのは、江戸時代から伝わっている民間療法なのだそうです。
 
 私の母がどのようにしてそれを知ったのかは分かりませんが、きっと母も誰かに教わり、それを受け継いできたのだと思います。そして、私もまた、それを継いでいくのでしょう。

11/08/12


先人の知恵袋Vol.18 浴衣編

 夏休み中のイベント案内でも、夏祭りや花火大会のご案内が多くなりました。それぞれの地区でも、大規模ではないけど地区だけでの盆踊り大会などを計画しているのではないでしょうか?夏祭り・花火大会・盆踊りといえば、浴衣姿…最近では、あまり見かけなくなりましたが、この浴衣、先人の知恵が詰まった日本の夏にぴったりの着物なのです。
 
 まず浴衣の歴史をさかのぼって行くと、その起源は、平安時代の貴族たちが入浴時に来ていた『湯帷子(ゆかたびら)』に始まります。当時のお風呂は蒸し風呂が中心で、火傷を防ぐためと、また複数の人と入浴する機会があったため、裸を隠すために使われていました。つまり、湯殿で着る帷子だったのです。それが安土桃山時代には、湯あがりに来て、肌の水分を吸い取らせるバスローブの様な使い方をされ、更に時が過ぎ、一般庶民に広がったのは、江戸時代と言われています。その頃には、現在の銭湯に近い浮世風呂が考案され、湯船に裸で入る入浴形式になっていました。そこで、湯上りに浴衣を着て涼む習慣が浸透したのです。 
 
 浴衣は、他の着物とは違い、何枚も重ね着せず、そのままさらっと着ることができます。一枚の布のような浴衣を体に巻きつけて着るので、袖付けの下や胸元などの隙間から風が入って抜けていきやすい構造となっています。また古典的浴衣の定番カラーとなっている白地と紺地ですが、白地は熱を吸収させず、紺地は染料の藍の香に虫よけ効果があると言われています。 
 
 湯あがり後のくつろぎ着に、普段着、外出着、寝間着にと時代によって様々に姿を変えてきた浴衣。そして、日本人のどんな体系にも似合う先人の知恵が詰まった快適な夏の着物。
 
 今年の夏まつり・花火大会で着てみてはどうでしょう。着ている本人は勿論、それを見る周りの人の夏気分を、グッと盛り上げてくれるはずです。

11/08/12


先人の知恵袋Vol.17 夏の涼編

 最近、どこ行っても誰にあっても始めに出てくる言葉は「暑いですね〜」ではないですか?そこで今回は、夏の涼に関する先人の知恵をご紹介しましょう。

 風にふわりと揺れて、涼やかな音色を響かせる風鈴。風鈴がひとつ窓辺にあるだけで、夏の情緒をグッと身近に感じます。これは、風鈴の音色が人の気持ちをリラックスさせる癒しの効果音だからです。冷房の無かった時代に、日本のムシムシとした、湿気の多い、暑い夏をやり過ごすため、先人は風鈴の値を聞くことに涼の風情を感じてきました。

 他にも、夏の涼と風情を呼ぶ知恵はあります。例えば扇子。うちわと違って扇子には日本の涼を感じさせる風情と粋な雰囲気があると思いませんか?扇子には大きく分けて雅やかな京扇子と粋でさっぱりとした江戸扇子があります。京扇子は竹骨を30本程度、多いもので100本近く使い、江戸扇子は、15〜18本使うので折り幅が広く、閉じるときにパチッと音がするのが特徴です。この扇子の竹骨に白檀などの香りのする材料を使ったり、また、ミント系の香りを付けるなど、香る風でも涼を感じる工夫をしていました。

 そして、しだれやよしず。窓を開ければ部屋に風を入れることはできますが、すだれやよしずを使うことで、その風を涼風に変えることができます。

 涼しい風を入れるために大切なのは、風は入れるが、熱は入れないということ。これには、カーテンより断然すだれやよしずの方が効果的です。何より見た目も涼しく感じませんか?カーテンは、網戸の面を塞いだり、風に対する抵抗となり換気を妨げてしまいます。

 しかし、よしずやすだれは直射日光を遮り、しかも、風通しも抜群です。

 目隠し効果としても、レースのカーテンに比べてすだれやよしずのほうが中から外はよく見えるのに、外から中はほとんど見えません。ただし、夜、明かりをつけた室内は見えますのでご注意下さい。

 いずれにせよ、昔から使われてきた涼を呼ぶ方法は、見て、聞いて、そして感じて。体全体で涼と風情を楽しむことができる、昔ながらの道具です。

 今年の夏は、先人の知恵をうまく取り入れながら上手に暑さ対策をしてみてはいかがでしょう。

 想像してみてください。夏、よしずを立てかけた縁側で、扇子を優雅に仰ぎながら涼を取る。風に揺れて風鈴の音が聞こえます・・・。なんだかとっても涼しくなりませんか?

11/07/28


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