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椎葉神楽

椎葉神楽

椎葉神楽は平成3年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。
現在は村内26地区に伝承されています。

これらの神楽が、いつ、どこから、伝えられたのか今のところ明らかではない。十根川神社に御社体として祀られている女面は、室町中期かと鑑定されており、神楽の唱教(唱え言)は、年代としてはそれ以前に遡るものと思われる。この神楽は出雲系の神楽で、採物の舞を主と氏、仮面の出る能を交えて演ずる特色を持つが、この伝統の神楽は、九州全域に見受けられる。
しかし、26ヶ所に伝わる椎葉神楽は、まったく同じではなく、それぞれ異なった特徴を備えている。この奥山に26ヶ所も神楽が分布しているのはどのような理由からか?はじめから20数ヶ所に伝えられたのではなく、最初2,3ヶ所にあったものが、何らかの理由で各集落に伝播されていったのであろうか?また、仮面の大半は江戸後期といわれているが、採物舞における各集落の舞などの異同のようすをみると、この伝播も近代のこととは思われない。

椎葉神楽

神楽の長を「太夫」といい、舞い手を「祝子(ほうりこ)」、「神楽子」、あるいは「舞子」ということから、はじめは神職のものが演じたのであろうと考えられる。隣の集落へ行くにも山や谷を越えなければならない土地柄なので、昔は太夫たちが集まって演じたとしても、しだいに農家の人たちも加わり、集落全体で冬祭り(神楽)を行ったのではないかとも考えられる。
神楽を舞わない人たちは、焚火を囲み、せり歌(即興の歌)を歌い交わしながら神楽に参加する。神楽を舞う御神屋(みこうや)の天井には「くも」と呼ばれる天蓋が下げられ、これには四角形のもの、丸形のもの、また四垂を下げるだけの所もある。ただ変わっているのは、綱を引き「くも」を始終揺り動かす所があるということだ。神楽の始めには、使用する道具や御神屋などを讃えることがあるが、これは神事の古い形をとをとどめているためと思われる。

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椎葉神楽の現況

椎葉村88郷のうち、神楽面を伝えているのは、昭和57年2月現在で32カ所、神楽を開催しているのは26カ所である。 過疎、高齢化のため、元来10数戸の単位で祭を支えてきた集落が多い本村では、出郷者の帰省を待って行っているところもある。 椎葉村は、旧くは「椎葉山」と呼ばれ、独特の生活文化圏を維持してきた土地で、明治42年柳田國男により「後狩詞記」が著されて以来、様々な研究者の来村により伝承文化が報告されたにもかかわらず、神楽のみは戦後 本田安次(文化財保護審議会専門委員)によって「大河内神楽」が紹介されるまで世間に知られることがなかった。
本村の神楽、本来旧暦霜月の祭祀として、一夜二日にかけて行われる神楽で、氏子の願成就の寄進により、年によっては大祭を催す習慣があり、この折りには外御神屋または大宝を設け、藁蛇を出したりする。祭事次第は32番を基調に、先地・後地の舞で構成され、これに隣接地域からの奉納舞が加わることもある。
舞に先立って氏子・見物客への「座組」がなされ、神事や舞次第ごとに祝詞や祭文が唱えられる。祭事は本来太夫によって管掌されていたが、現在は師匠と呼ばれる熟達した指導者が替りを勤めている地域も多く、長子相続制は原則ではあるが実情に応じて必ずしもこだわっていない。
祭祀の開催は神社の神主・氏子総代が主催し、集落組織の長(組合長)が責任者、もしくは世話役として関与するところもある。26の神楽には祭具や飾付、あるいは開催場所などの相違はあるが、共通する部分もたくさんある。また猪の献せんや狩神事が次第に取り込まれるなど、山を隔てた米良地方の神楽とも類似性を見せている。 これまで述べてきたように椎葉神楽は、地域密度と伝承形態において、我国における伝承芸能の典型としての特徴を持つことから「重要無形民俗文化財」に指定されたのであるが、それまでの経緯については下記のとおりである。

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重要無形民俗文化財指定の経緯

  1. 昭和39年8月15日、本田安次(文化財保護審議会専門委員)、大河内神楽の調査に入る。
  2. 神楽存続のため、届け出による村指定を実施し、昭和49年に栂尾神楽、同53年に十根川神楽、 竹の枝尾神楽、尾前神楽が村指定無形文化財となる。
  3. 昭和55年12月12日、記録作成等の措置を講ずべきとの趣旨から国の無形民俗文化財として選定される。
  4. 昭和56年度から59年度の4年間で、国・県の補助を受けて、椎葉神楽記録作成委員会が調査及び 報告書第1集から第4集を作成する。
  5. 昭和58年10月に椎葉神楽を早稲田大学で公演するなど、村外で公演する機会に恵まれ椎葉神楽が 広く世に知れる。
  6. 昭和63年11月17日、村内26カ所の神楽を村の無形文化財として指定する。
  7. 平成2年11月、文化庁の主任調査官による現状調査が行われる。
  8. 平成3年1月25日、重要無形民俗文化財として文化財保護審議会より文部大臣に指定の答申がなされる。
  9. 平成3年2月21日、国の重要無形民俗文化財に指定される。

椎葉神楽調査団は昭和55年12月12日に椎葉神楽が文化庁から「記録作成等の措置を構図べき無形民俗文化財」として選択されたために、昭和56年度から4年間結成された。メンバーは本田安治先生(平成7年度文化功労者)を団長とし、神楽、民俗、音楽、食物、服飾、写真など、各専門分野が集まり,総計16名で結成されていた。
この間の調査により「椎葉神楽調査報告書」をはじめ、「椎葉の郷土料理」など、椎葉の民俗文化の出版物が続々と世に知られるようになった。調査の結果、平成3年2月21日付けで椎葉神楽は国指定重要無形民俗文化財として指定された。椎葉神楽調査団の名称は通称で、正式には「椎葉神楽記録作成委員会」と称している。

(撮影 渡辺伸夫氏)
本田安治先生
(写真は本田安治先生)



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