椎茸通信Vol.5





いつの間にか桜も散り、新緑の季節となってきてます。
前回で書いたように今年は春子の発生ピークが遅れて椎茸採って、乾燥して、選別して、駒打ちもしなきゃってな感じで椎茸生産者は大忙しです。
発生量は標高の高い所はまだ発生しているのではっきりとは言えませんが、平年を若干下まわると感じてます。

で、さっき書いた春子って言葉について解らない人もいると思いますので説明します。
椎茸ってのにも実はいろんな品種があって、その菌の種類によって発生する温度帯が違うんです。
椎葉で主に栽培されてる乾椎茸の品種は早い物で10月くらいから発生し、順次、その品種の発生温度が来れば発生し始め、春まで発生します。
その発生する時期によって秋に発生する椎茸を秋子、1月頃の寒い時期に発生する物を寒子、3月頃のものを春子と言います。
昔は春に一斉発生する品種が多く使われていたんですけど、最近は温暖化のせいですかね〜、寒〜くなる時期ってのが不定期っていうか年によって大きく違うため、強い寒さがこないと発生しない低温は昔と扱いが昔と違ってきているので、秋から発生するものが多く植菌されているよーです。
どの品種がいいのかは地理的条件、どの時期に採りたい、どういったモノを採りたいっていう生産者の好みってのもあるので、実際に色んな生産者の話を色々と聞いて品種特性をしっかり理解して本人が選ぶのが一番ですね。

で、その植菌作業についてなんですけど、前回、伐採からそこまでを書いたので続きを

作業の流れはドリルで原木に穴をあけ、種駒を埋め込み、仮伏せ、又は本伏せをするという順序なります。
まず、穴あけなんですが、椎茸菌は木繊維の方向の縦にはよく伸びるんですが、横には余り伸びません。
なので、穴の間隔は横に5cm程度、縦に20cm程度で千鳥であけるといいかと思います。
穴の深さは種駒よりちょっと長いくらいでいいと思います。

そんで、これに種駒を埋め込み仮伏せになるんですが、縦積み法と、横積み法がありまして、このあたりでは横積みが多いですね。


仮伏せする意味なんですけど、椎茸菌が伸びる温度、湿度が必要なんですけど、枯らした原木の材内含水率は低くなってて、これをある程度回復させないと菌が活着しないためです。
仮伏せのポイントとしては、
・直射日光をあてない
・風で木が乾燥しないようにする
・高温(20度以上)にならないようにする
こういった事から横積み法の場合、高さを低く(40cm以下)にして、遮光ネット等で覆うのが望ましいです。
ただし、上面は雨が透るようにしなければならないので、ネット類は雨が通りにくい物もあるので注意が必要です。
笠木があればいいんですけど、集めるのも大変だし、ネットで覆うか林内でやるのが多いですね。
あまり長くやりすぎると害菌など障害が発生するので植菌孔や木口から白く菌糸が吹き出したりすればすぐに本伏せに移った方がいいですね。

ただ、これは良く枯れた木の場合の事なので、伐採時期が遅れての生木や含水率が高い木、大系木は害菌が発生したり、原木が再生したりするのでやらない方がいい事もあります。雨が多かったり、植菌時期が遅かったりする場合も同様ですね。
たまに梅雨頃、植菌した原木から木の芽が出てる事があります。こういう木は生木だったんでしょうね。

結局、しいたけ菌も生き物なんで、気を配って過ごしやすい環境を作ってやれるかってのが重要ですね。




今日の一枚





これは4月10日に行われた椎葉村乾椎茸品評会の様子です。
椎葉では椎茸生産者で組織する椎茸部会というのがありまして、技術研修などいろんな活動をやってるんですが、毎年4月に乾椎茸品評会というのを開催して良品作りのための技術を競い合ってます。
発生が大きく遅れたなかで多くの出品があり、生産者の意気込みが感じられました。
これについては、また次回詳しく書きたいと思います。

今回はこれでおしま〜い