椎茸情報局

椎茸通信 Vol.8

椎茸通信Vol.8




今年の活着状況!

梅雨も終盤。あつ〜い夏がやってきます。
今回は、今年の植菌した菌の活着状況を報告しまっす。
椎葉では椎茸部会が毎年この時期に村内をまわって、菌の活着状況を確認しています。
まあ、結論から言うと、今年の活着状況は悪くないです。
ただ、まだ仮伏せのところも多いんで、こういう所は至急本伏せする必要がありますね。
伏せ込みは前回話したとおり、下のような野伏せが一番いいんですけど、最近はほとんど見られない。



多くは道端付近に伏せ込んでますね。
道端伏せするのはいいんですけど、雨の通らない寒冷遮をすっぽり被せてるのはアウト!
はぐってみると下のようになってます。


ダイダイタケですかね〜
結構キテます(-_-)
まあ、割と生っぽい木が多くてね〜、なかには芽が出てるやつもありました



つぎに害菌の発生状況です

ゴムタケ
仮伏が長く多湿の所でよく見ました
まあ、これは風通ししてやれば全然問題ないッス
でも、ほっといて高温多湿な状態にしてるとベターッとなって別の害菌に感染します
 
ダイダイタケ
そんなに見かけてませんが、生木&大径木についてました
これも風通しよくすればOK

トリコデルマ
みたくない害菌ですね
1箇所だけそれらしいモノを見ました
見かけたら至急隔離!ほかの木に移って大変な事になるからね
見かけたのはこのくらいだったと思う
意外にカワラタケ見なかったな〜
たまたまかな?
害菌については「ほだ木と害菌」とかで検索かけると情報得られると思います

で、菌の伸長状況はこんな感じ


割った状態の写真では黒い線までがしいたけ菌が腐朽しているエリアです

ちょっと分かりにくいけど・・
極端に悪いってとこは無かったです<
それより至急しいたけ菌が過ごしやすい環境にしなければならないトコが多かったですね
過ごしやすい環境ってのを説明しますと
 椎茸菌は25〜30度(ほた木の温度)が一番伸びやすい
 しか〜し、32度で活動停止
 35度で1週間、45度なら1時間で死んでしまう
 
つまり、30度以下の風通しがよい状況を作ってやればいいって事
結局、人間と同じ。自分がホダ木だったらこんな環境じゃたまらんな〜って思うようなとこにホダ木を置かない
風にあたって涼しく、適度に水がもらえてって感じ
たまに道端で雨のとおらないネット掛けられて、ガンガン直射日光あたってるホダ木みるけどすぐに40度くらいになるからね
2〜3時間でオダブツ!せっかく駒うったのにムダー!

野伏せが無理ならこんな環境にしてあげましょう



それと水抜けしてない木は組んでる木をひっくり返したりすると、水が抜けるんでやった方がいいです
大変なんですけどね〜
しいたけ菌は酸素が入る事で菌が腐朽していきます
水がいっぱいだと苦しいですよね。息したいですよね
これも人間と同じ
やるとやらないのじゃ1割以上は発生量が違ってくると思いますよ
販売価格がいいから1本のホタ木からどれだけ発生させるかで大きな収益の差がでてくる
頑張った分だけ稼げると思って頑張って下さい

 

今回はこれでおしま〜い


08/07/10


椎茸通信 Vol.7

椎茸通信Vol.7




本伏せ作業はお済みですか?
梅雨まっただ中で、体にカビが生えそうですね〜。嫌な季節です。
今回は、本伏せ(ほんぶせ)という作業について書いてみたいと思います。


本伏せってのは、Vol.5で書いた仮伏せ(かりぶせ)で菌が原木に活着した状態になったものを、風通しをよくしたりして菌を材内へ伸ばしてやる作業の事です。
う〜ん、思うにこっからの作業でいかに菌を材内に腐朽させるかが、収量に大きく影響するし一番大事な所だと思うんですよね。
この管理を手を抜いちゃうと雑菌にやられたり菌が伸びなかったりして、せっかく駒を打ったホタ木を捨てなければならなかったり、収量が少なくなっちゃいます。
まあ、他の農作業とか仕事が忙しいとなかなか大変なんですけどね〜。

では、本題に入ります。
伏せ込みのやり方としては、大きく分けて次の3タイプが行われています。

○野伏せ
 これは、原木を伐採した所で駒を打ち、そのまま伏せ込むというやり方です。
 このやり方が一番、菌の腐朽がいいと言われてますが、なにせ作業が大変!
 駒打ちなどを林地で行わなければいけないし、通風を良くするための草刈りや日除けのための笠木掛けなど手がかかります。
 特に椎葉のような急傾斜ではなかなかですね。


○林内伏せ
 これは、林内に運んでほだ化させるやり方です。
 木の木陰のなかに伏せ込むため、日除けや草の伸びがないため通風のための草刈り作業が軽減されますが、温度が低かったり、雨の当たりにむらが出たりして、菌の伸びが遅かったりムラがでたりします。


○道路脇伏せ
 こんな名前の伏せ込み法はないんですけど(^_^;) 最近よく見られるのであえて書いてみました。
 生産者も高齢になって、労力軽減するために原木を作業のし易い場所に運んで、そこで駒を打ってそのまま道脇に伏せ込んじゃうんですね。
労力軽減でいいんですけど、やり方がまずいとホダ木をだめにしちゃうんで要注意です。
下の写真がいい事例なんですけど、注意点としては





・ネットは雨が通りやすく、直射日光を防ぐ物。
・横側からも日光は当たるので、サイドの日除けもする事
・ネットと原木の間を30〜50cm程度すかすこと
・周りは風が通るように草を刈る事

よくネットを直接掛けてるのをみるけど、直射があたったネットは真夏は35度をかるく超えちゃうので、直掛けしてるとホタ木が高温にさらされ菌が死んじゃいます(<)
しいたけ菌は30度を超える暑さにさらされると弱ります。気をつけて!
人間でもそんな高温に晒されちゃたまんない!自分が過ごしやすいって思う環境を考えて管理してやればいいんじゃないかな?
まあ、上の写真のやり方でやってる人は毎年素晴らしいホダ木を作ってるんで、ちゃんと管理すればいいやり方と思います。

あと、ほだ木の組み方や細かい事もありますが、今年の菌の伸びの状況と併せて、またの機会に書きたいと思います。



今日の写真
先日行われた県の乾しいたけ品評会表彰式で優等を受賞された生産者の方々です。
出品物は無理矢理つなげてますので多少変ですが・・




左から那須ナミ子さん、山中誠さん、甲斐満さん、中瀬裕さん、山中憲太郎さんです。おめでとうございま〜す(^o^)

また、功労賞として椎葉忠一さんが受賞されました。おめでとうございま〜す(^o^)



今回はこれでおしま〜い

08/06/19


椎茸通信 Vol.6

椎茸通信Vol.6




乾椎茸品評会開催される!!
前号最期に書いた品評会についてお伝えしてみたいと思います。
乾椎茸にはその品質を競う品評会が全国、県で行われており、椎葉村でも行い、技術の研鑽を図ってます。

品評会は入札用出荷箱での箱物の部と、700g分の量を袋に詰めた袋物の部の2部門があり、箱物は香信、冬、香。袋物は香信、香、冬、天白冬、茶花冬の品柄にわかれてます。
それぞれに大きさや品柄特有の形状などの特徴を踏まえた審査基準ってのがあり、それに沿って審査されます。
今年は厳しい寒さの上に発生も遅れて生産者も大変だったんですけど、袋物133点、箱物50点という多くの出品がありました。スゴイ!
その中から優等だけご紹介します。

○袋物の部
 香信   那須ナミ子さん
 冬   中瀬 裕さん
 天白冬 那須義春さん
 香   那須ナミ子さん

○箱物の部
 香信   那須ナミ子さん
 冬   那須セツ子さん
 香   山中 誠さん

あれっ、袋物には茶花冬ってものあったんじゃ???って思ったんじゃですか?
村の品評会では出品物が例年の優等のレベルにない場合は優等をとらないそーです。厳しいですね。


ついでに県の品評会の結果を(これも優等のみ)ご紹介します。
○袋物の部
 香信   那須ナミ子さん
 香   山中 誠さん、山中憲太郎さん
 冬   中瀬 裕さん
 茶花冬 甲斐 満さん
残念ながら、袋物の天白冬と箱物については優等がありませんでしたが、優等12人中5人、袋物では5部門中4部門を優等を獲得するという素晴らしい成績でした。
市町村毎の団体戦もあるんですが、椎葉村は五ヶ瀬町についで2位でした。
上位3位の内訳は
 優勝 五ヶ瀬町 得点 235点(袋物61点、箱物174点)
 2位 椎葉村     206点(袋物155点、箱物51点)
 3位 諸塚村     138点(袋物66点、箱物72点)
椎葉では1品種を10万個以上植菌する人が殆ど居ないため、箱(香、冬で15kg〜20kgくらいの重量)での品ぞろいってなると、他町村の1品種を大量に打ってる所には技術力だけではかなわないってトコです。
しかし、少量で勝負の袋物では上記のようにダントツの成績で高い技術力をもった生産者が多くいるって証明です!。
まあ、箱物で好成績をおさめるには植菌量を増やすってのが一番なんですけど、急峻な地形や生産者の高齢化ってのを考えるとなかなか難しいですね〜。
それぞれの品柄がどういった物かわかるように、今年の村品評会での優等(袋物のみ)の写真を載っけます。
優等のなかった茶花冬は平成10年に全国の大会で優等(農林水産大臣賞)を受賞した中園美智子さんのものを載っけさせてもらいました。

香信



香


冬





天白冬



茶花冬




今回はこれでおしま〜い

08/05/02


椎茸通信 Vol.5

椎茸通信Vol.5






いつの間にか桜も散り、新緑の季節となってきてます。
前回で書いたように今年は春子の発生ピークが遅れて椎茸採って、乾燥して、選別して、駒打ちもしなきゃってな感じで椎茸生産者は大忙しです。
発生量は標高の高い所はまだ発生しているのではっきりとは言えませんが、平年を若干下まわると感じてます。

で、さっき書いた春子って言葉について解らない人もいると思いますので説明します。
椎茸ってのにも実はいろんな品種があって、その菌の種類によって発生する温度帯が違うんです。
椎葉で主に栽培されてる乾椎茸の品種は早い物で10月くらいから発生し、順次、その品種の発生温度が来れば発生し始め、春まで発生します。
その発生する時期によって秋に発生する椎茸を秋子、1月頃の寒い時期に発生する物を寒子、3月頃のものを春子と言います。
昔は春に一斉発生する品種が多く使われていたんですけど、最近は温暖化のせいですかね〜、寒〜くなる時期ってのが不定期っていうか年によって大きく違うため、強い寒さがこないと発生しない低温は昔と扱いが昔と違ってきているので、秋から発生するものが多く植菌されているよーです。
どの品種がいいのかは地理的条件、どの時期に採りたい、どういったモノを採りたいっていう生産者の好みってのもあるので、実際に色んな生産者の話を色々と聞いて品種特性をしっかり理解して本人が選ぶのが一番ですね。

で、その植菌作業についてなんですけど、前回、伐採からそこまでを書いたので続きを

作業の流れはドリルで原木に穴をあけ、種駒を埋め込み、仮伏せ、又は本伏せをするという順序なります。
まず、穴あけなんですが、椎茸菌は木繊維の方向の縦にはよく伸びるんですが、横には余り伸びません。
なので、穴の間隔は横に5cm程度、縦に20cm程度で千鳥であけるといいかと思います。
穴の深さは種駒よりちょっと長いくらいでいいと思います。

そんで、これに種駒を埋め込み仮伏せになるんですが、縦積み法と、横積み法がありまして、このあたりでは横積みが多いですね。


仮伏せする意味なんですけど、椎茸菌が伸びる温度、湿度が必要なんですけど、枯らした原木の材内含水率は低くなってて、これをある程度回復させないと菌が活着しないためです。
仮伏せのポイントとしては、
・直射日光をあてない
・風で木が乾燥しないようにする
・高温(20度以上)にならないようにする
こういった事から横積み法の場合、高さを低く(40cm以下)にして、遮光ネット等で覆うのが望ましいです。
ただし、上面は雨が透るようにしなければならないので、ネット類は雨が通りにくい物もあるので注意が必要です。
笠木があればいいんですけど、集めるのも大変だし、ネットで覆うか林内でやるのが多いですね。
あまり長くやりすぎると害菌など障害が発生するので植菌孔や木口から白く菌糸が吹き出したりすればすぐに本伏せに移った方がいいですね。

ただ、これは良く枯れた木の場合の事なので、伐採時期が遅れての生木や含水率が高い木、大系木は害菌が発生したり、原木が再生したりするのでやらない方がいい事もあります。雨が多かったり、植菌時期が遅かったりする場合も同様ですね。
たまに梅雨頃、植菌した原木から木の芽が出てる事があります。こういう木は生木だったんでしょうね。

結局、しいたけ菌も生き物なんで、気を配って過ごしやすい環境を作ってやれるかってのが重要ですね。




今日の一枚





これは4月10日に行われた椎葉村乾椎茸品評会の様子です。
椎葉では椎茸生産者で組織する椎茸部会というのがありまして、技術研修などいろんな活動をやってるんですが、毎年4月に乾椎茸品評会というのを開催して良品作りのための技術を競い合ってます。
発生が大きく遅れたなかで多くの出品があり、生産者の意気込みが感じられました。
これについては、また次回詳しく書きたいと思います。

今回はこれでおしま〜い

08/04/18


椎茸通信 Vol.4

椎茸通信Vol.4




久しぶりの更新ですっ

Vol.3の頃は激寒でしたが、今はすっかり暖かくなっちゃって春らしくなってきました。
雨の無さと寒さでしいたけが全然でなかったのが、最近の雨でようやく出始めてきました。
このまま17〜8度くらいまでの気温なら平年並みの発生量になるのかな?と期待してます!
ここ2〜3週間はナバ採りで忙しくなりそ〜

で、今の時期は椎茸の菌を木に植菌する作業の時期にもなるんですが、
あっ、「すぎのこ通信」で小学生が体験作業の様子書かれてましたね。あの作業です。
この作業について今回はちょっと書いてみたいと思います。

まずは木の伐採の作業から

椎葉では椎茸栽培には主にクヌギ、ナラの木が使われてます。
まあ、九州では殆どそうでしょうけど。
クヌギは椎茸がボリュームがあって1代あたりの収量が多いけど、菌を蔓延させにくい
ナラは菌を蔓延しやすいが、1代あたりの収量が落ちるってそれぞれ一長一短があるんですが、クヌギの方が多く使われてるようですね。
で、木を切る時期なんですが、五分紅葉ぐらいが目安です。椎葉でいうとちょうど平家まつりぐらいですね。
なぜ、その時期かって言うと、椎茸菌は腐朽菌と言って枯れた木に活着してその木の栄養分を得ながら伸びていくっていう特徴にあります。
木を枯らすためには、葉が付いてないと蒸散しない。
栄養分が木に多く蓄積されている。
樹皮の含水率が低いと樹皮が剥がれにくくなる。
っていった事から五分紅葉ぐらいがいいって事になります。
伐採時期は菌の腐朽に大きく影響するんで、ここは重要なポイントとなります。
五分紅葉
  ↓





全紅葉(伐採遅れ)
  ↓




それで伐採が完了したら葉枯らしに入るんですが期間的には30〜60日くらい。
これは日当たりとかその場の条件によるんですけど、目安としては切った木口に亀裂が半分ほど入ればOKです。
あんまり枯れすぎると樹皮が割れてそこから害菌が侵入する恐れもあります。

葉枯らし・玉切り

  ↓



ほどよく枯れたらこれを適度な長さ(1m〜1m10cm程度)に切って、そこで種駒を打つか、搬出して植菌作業を行います。
この作業が大変なんですよね。おも〜い木を何回も抱えて作業しなければならないんですから
あの作業見てると椎葉の年配の生産者はホント元気だと思いますよ。
植菌以降の作業についてはまたの機会に書いていきます。



今日の一枚


しいたけの菌が伸びている状況です。
駒から木の内部にジワジワと伸びてきている様子ですね。だいたい6月くらいの状況かな?
木が十分枯れてなかったり、植菌した後に雨が少なかったりすれば菌の伸びが悪くなります。
菌は表面上はよく伸びていきますが、内部にはなかなか伸びていきません。
表面上しか伸びなかったら1〜2年は発生するけど、あとがあまり出らずトータル収量が少ないって事になるので、いかに菌を内部に伸ばしていくかって事が重要になります。
これは気象条件と生産者の技術に左右されます。

今回はこれでおしま〜い

08/03/19


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